白髪染めの歴史は非常に長く、最も古いものは紀元前3000年にまでさかのぼります。
当時の染料はもちろん化学成分ではなく、植物や動物、鉱物から採取した天然染料が用いられていました。
特に『ヘナ』という植物から採取した染料は世界三大美女として知られるクレオパトラも愛用したと言われており、現代でも白髪染めの素材として親しまれています。
ちなみに、日本における白髪染めの歴史は『平家物語』などの著名な物語に記されており、敵に老いた姿をさらさないよう、白髪を黒色に染め上げていたと言われています。
世界で使われているヘナは赤みがかった色に染まりますが、日本では明治半ばからタンニンと鉄分を使用した黒色染料が使用されており、民族間の違いを伺わせます。
現代において、最もスタンダードな染料として知られる化学染料(酸化染料)が使われ始めたのは19世紀のヨーロッパです。
それまでの白髪染めは非常に時間がかかるところが難点で、1日がかりで髪を染めることもめずらしくありませんでした。
しかし、酸化染料の誕生により、短時間での白髪染めが可能となったことから、世界はもちろん、日本にも広く普及されるようになりました。
日本では明治時代末期に伝えられ、大正時代から現代に至るまで100年以上も愛用され続けています。
酸化染料は現在でも市販の白髪染めの大半を占めていますが、長い歴史の中でその安全性を危惧する声も増えてきました。
特に懸念されているのはパラフェニレンジアミンという酸化染料によるアレルギー反応で、かぶれやかゆみ、湿疹などの接触性皮膚炎を引き起こすほか、人によっては強いアナフィラキシーショックの原因となり、命に関わる可能性もあります。
そこで近年では、パラフェニレンジアミンなどの酸化染料を使わない天然素材の白髪染めが注目を集めています。
昔から使われているヘナを使用した白髪染めをはじめ、クチナシやウコン、アナトーなど、植物から採取した天然染料を使用する白髪染めが増えています。
これまでは酸化染料が白髪染めの長い歴史を占めてきましたが、近年は染毛の原点に戻ってきたと言えるでしょう。